キビダンゴ

〜THEY GROW EACH OTHER〜


毎年2歳馬デビューの時期になると、馬名掲載された雑誌や新聞を見ては面白い名前の馬を探してしまう・・・そんな競馬ファンも多いはず!
私もかなり楽しみにしているタイプだったりする。
中でも、馬名も変わっていれば、面白い偶然も重なって有名になったキビダンゴ。
その偶然というのは、同年齢で同厩舎にオニタイジという馬がいた事。
馬主さんが同じなら話もわかるけど、それぞれ違う馬主さん馬なのだ!
馬主さん自身、周りに言われて初めてそんな偶然があったと気づいたらしい。
キビダンゴは1996年にデビューし、4勝を挙げ1999年の8月に引退。
現在は東京競馬場の乗馬センターで誘導馬として第二の馬生を送っている。
競走馬の時は身体を伸ばして走るという事を教えられるけど、乗馬はその逆で身体を縮めてしっかり歩く事を教えられる。
馬によってそれに慣れる度合いの違いはあるけど、それはとても難しい事。
物心ついた頃から教えられてきた事と全く逆の事をするのは人間だって大変なはず・・・と思うと馬は何てエライんだろう、と尊敬してしまう。
キビダンゴも最初は慣れるまで大変だったそうで・・・。
乗馬センターに来た時は、まだ競走馬としての気持ちが強くてやんちゃな部分が多く、、さて訓練という時には右前脚に小さな骨瘤が出てしまい、なかなか調教を始められなかったのだそうだ。
脚元の具合を見ながら、やっと調教のゴーサイン。
少しずつ、乗馬、誘導馬としてのカリキュラムをこなし、決して遅くはないペースで乗馬センターからパドック、ウィナーズサークルまでのスクーリングが出来る様になったというから凄い!
調教行程の一つであるスクーリングのパートナーを務めてくれるのは先輩誘導馬のデューカルパール。
どうやら、普段も仲が良いらしい。
担当の方にキビダンゴの性格を伺ってみた所「とにかく、人なつっこくて好奇心旺盛ですよ。騎乗してる時はしっかりと訓練をこなしてくれますが、下馬すると顔を擦り付けてきたりと甘えん坊な所もあります。」との事。
そんな可愛い性格から、周りからはダンゴの愛称で呼ばれている。
担当の方は、まだ若い方で東京競馬場に来て始めて誘導馬の訓練に携わったそうだ。
お互いに一からのスタートだったとの事で、その苦労は本当に大変なものなんだろうな・・・と思った。
キビダンゴとパートナーを組んで、困ったな・・と思ったエピソードは、じゃれて甘噛みしてしまう事。
馬に対して経験がある人なら対処出来る事だけど、誘導馬として多くのお客さんと接する機会が増えるだろうキビダンゴにそれは許されない・・・。
「ダンゴにしてみれば、悪さして噛んでるわけじゃないからただ怒れば良いってものじゃないし、それじゃダンゴに理解してもらえない。何より信頼関係が築けないんです。だから、少しでもこちら側の意図が伝えられる様にいつも気をつけて接しています。」
言葉でやり取りが出来ないだけに、お互いの思いを伝えるのは本当に困難な事。
しかし、言葉があっても嘘や繕いがある分、言葉なしで素直な気持ちを伝え合う方が信頼関係の絆は強いのではないかと思ったりした。
この話、実は結構前に聞いたものだったりする。
当時、キビダンゴはまだ誘導馬デビューをしていなく、その年の秋にデビューを予定していたのだが、調教がうまく進まなければそれも延期される可能性があった。
そして、その年の秋・・・。
そこには誘導馬として立派に歩くキビダンゴの姿があった!
一緒に話題になった相棒(!?)のオニタイジが出走するレースの誘導もきちんとこなし、かつての厩友にエールを送っている様に思えた。
キビダンゴが誘導馬として予定通りにデビュー出来たのは、本人(本馬?)の頑張りはもちろんだけど、誘導馬調教を初めて任され試行錯誤しながらもパートナーである彼に気遣う事をいつも忘れなかった担当の方の愛情が支えになったのではないかと大いに思う。
始まりが全て0だった二人だからこそ、その絆を深められたんだと感じた。
それでも、まだまだスタートラインに立ったばかり。
今度は新入生誘導馬のサポートをする二人の姿を見たいな、と新しい願いが出来た瞬間だった。



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